本検討会は、AIやクラウド技術を活用した次世代型ホスピタリティ教育の可能性を探る産学連携の取り組みです。
同検討会には、ザ・ペニンシュラ東京、株式会社JTB、日本能率協会(JMA)、川村学園女子大学、東洋大学、テックウェイ、アマゾン ウェブ サービス ジャパンが参加し、業界横断的な知見の共有と課題解決を目指しました。
■ アマゾン ウェブ サービス ジャパンによる講演:クラウドとAIの基礎からホテル現場への応用へ
本検討会には、アマゾン ウェブ サービス ジャパンから講師を招き、クラウドコンピューティングとAI技術の基本的な概念、およびそれらをホテル業界でどのように活用できるかについて解説が行われました。
・クラウドによる柔軟でセキュアなデータ管理
・AIサービス(Amazon Bedrock、Amazon SageMaker など)の基礎構造と活用事例
・多言語対応やスキル評価へのリアルタイムAI適用の可能性
・人材育成の現場における導入効果と注意点
参加者からは、「クラウドとAIの実態を改めて体系的に理解できた」「現場への導入を具体的に検討するうえで有意義だった」といった声が多数寄せられました。
■ テックウェイの発表内容と貢献
株式会社テックウェイからは、代表取締役社長 瀬尾 博文氏が登壇し、以下の事例と提案を発表しました:
・AIアバターを活用した宿泊スタッフ教育ソリューション
・外国人や新人スタッフが短期間で実務を習得できるAIトレーニングの実例
・自動翻訳や対話型AIによる多言語接客サポートのデモンストレーション
・教育DXによるコスト削減とサービス品質の両立
・AWSクラウドと連携した生成AI活用による教育プロセスの効率化
こうした内容は、教育現場のリアルな課題に即したソリューションとして、参加者の高い関心を集めました。
■ 今後の予定
今回の検討会は、2025年5月の第1回会合に続くものであり、2025年度末までに研究成果を集約し、AIとクラウドを活用したホスピタリティ教育モデルの体系化と書籍としての刊行を予定しています。
今後も定期的な会合を通じて、ホテル業界における人材育成の高度化と、産学官の連携強化による現場実装の促進を目指してまいります。
■ 東洋大学 国際観光学部 国際観光学科 准教授 徳江 順一郎氏からのコメント
「ホスピタリティ産業における人材育成は、従来OJTや属人的な指導に依存してきましたが、人口減少や国際化の進展により、教育手法の再構築が急務となっています。本検討会では、AIおよびデジタル技術を補助的手段として活用し、現場で共有されてきた暗黙知の可視化と継承、ならびに教育の標準化や効率化をいかに両立させるかを主要な論点として議論を進めています。テクノロジーの導入が人間性を損なうのではなく、むしろ本質的なホスピタリティの深化に寄与する道筋を、実証的かつ理論的に探求する場として本検討会を位置づけています。
今後は、国内外の事例研究やフィールド実証を通じて、産学共同での教育モデルの設計指針や評価指標の策定、学術論文・実務ガイドラインとしての発信を目指してまいります。」