
芝浦工業大学システム理工学部の川島洋人教授と産業技術総合研究所の谷保佐知副研究部門長・研究グループ長らの共同研究チームがペルおよびポリフルオロアルキル化合物PFASの炭素安定同位体比を分析することに成功しました。
概要
チーム:芝浦工業大学 システム理工学部 川島洋人 教授 / 産業技術総合研究所 谷保佐知 副研究部門長・研究グループ長
成果:ペルおよびポリフルオロアルキル化合物PFAS(PFOA・PFOS)に対する炭素安定同位体比の分析に成功。この結果は、PFASの発生源推定や製造プロセスの解明に活用できる新たな分析基盤となる。
論文タイトル:Stable carbon isotope analysis of PFOA and PFOS using Orbitrap Mass Spectrometry
論文URL:https://doi.org/10.1021/acs.estlett.6c00075
研究助成:科学研究費 基盤研究(A)21H04929「安定同位体比を用いた水溶性有害化学物質の環境挙動の解明」
芝浦工業大学URL:https://www.shibaura-it.ac.jp/
産業技術総合研究所URL:https://www.aist.go.jp/
詳細な情報と議論
この研究の成果は、PFAS(永遠の化学物質とも呼ばれる)の発生源と製造プロセスを特定するための新たな分析基盤を提供します。PFASは人体や環境への影響が国際的に懸念されている物質で、特にその流出源を特定するのが困難とされていました。
今回、研究チームはPFOAやPFOSに含まれる炭素安定同位体であるδ13Cを「化学的指紋」として読み取ることが可能であることを発見しました。これにより、PFASの発生源の特定や、製造プロセスの探索に用いることが可能となります。
さらに、この手法は実環境試料にも適用可能であることが確認されました。研究チームは、河川水にPFOAとPFOSを添加したスパイク試験によりこの確認を行いました。これにより、環境中のPFASの動態や発生源を科学的に特定する新たな手法が確立されたと言えます。
その他の関連情報
本研究は、芝浦工業大学の学部4年生による卒業研究として実施されました。Orbitrapを用いたPFOSの安定同位体比測定に世界で初めて成功し、その成果は国際学術誌「Environmental Science & Technology Letters」に掲載されました。
今後、研究チームはより低濃度域での実環境試料への適用や、PFOA、PFOS以外のPFASへの測定対象化合物を拡大することを目指しています。これにより、環境動態の解明や、原材料や製造・処理工程の追跡技術の確立等へ活用することが期待されます。
